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育む島 やんばる沖縄島北部

沖縄島北部・東村
地元ガイドがとっておきの景色、地域の宝を紹介

「地元の方さえ知らない景色や自然が、まだまだやんばるの森にある」。ガイド歴20年になる比嘉茂正さんは森の魅力を伝えながら、この貴重な地域の宝を未来の世代へ引き継いでいきたいと考えています。そのためにもまずは知ること、触れることが大切。やんばるの自然を好きになることからはじめてみませんか。

ガイドプロフィール写真

比嘉 茂正さん(ひが しげまさ・自然体験フォレストひがし代表)

1960年、沖縄県名護市生まれ。27才の時に東村へ移り住み、脱サラ後、41歳で村内にある貴重な自然環境を活用しながら、本格的に自然ガイド業をはじめる。若いガイドに頼られる兄貴的な存在で、環境への負荷を最小限にする事を心がけながら、やんばるの素晴らしさを伝えている。

東村にある福地ダムは1974年に完成した県内最大のロックフィルダムで、ダムによって形成された福上湖は県民にとって大切な「水がめ」と言える存在です。2007年からは「ダムツーリズム」の一環で福地ダムを活用するアクティビティが可能になり、ダム湖や周辺の森を利用し、カヌーとリバートレッキングを合わせたツアーが実施されています。湖面利用は許可制のため、湖上から眺めるやんばるの森、支流を遡って現れる滝つぼなどは、ツアー参加者だけが見ることができる特別な景色と言えるかもしれません。

福上湖でのカヌー体験はガイド1名につき、カヌーは5艇までと決まられており、また、トレッキングなど山を案内する場合についの人数も設けています。2人乗りのカヌーを使う場合は、ひとりのガイドが引率できる参加者は5名まで。入域できる総人数などは今後の課題のひとつですが、滞在時間の制限を設けるなど、自然へのインパクトをなるべく抑えるルール作りが地元のガイドを交えて検討されています。沖縄の伝統的な木造船である「帆かけサバニ」を用いたツアーも可能です。

沖縄は海のイメージが強い地域ですが、比嘉さんはやんばるの森に入るたびに「ぜひこの森の景色を見てほしい」と思うそうです。耳を澄ますと様々な生きものの鳴き声が聞こえ、足元から頭上に目を移すと、空を覆う木々の気配に圧倒されると言います。やんばるの森を愛する人たちが増えることは、地域にとってもプラスになり、貴重な動植物を守ることにつながると比嘉さんは信じています。

自然保護の観点からも活動フィールドの分散化は必要だと、比嘉さんは考えています。そのためにも若いガイドと協力しながら魅力的なフィールドを開拓し、オーバーユースにならない自然利用を目指しています。

福地ダムの周囲一帯はやんばるの森が広がっており、森の中には2016年に一部返還された米軍の北部訓練場が含まれています。返還前は周りの森に立ち入りが出来なかったこともあり、樹齢200年を超える巨木や貴重な動植物が生息る場所として残されています。

沖縄島北部・大宜味村
どこか懐かしさを覚える集落で、自然の豊かさを知る

大宜味村の屋古集落では沖縄県内で見ることができるチョウのほぼすべてが観察できるといいます。子どもから大人まで、地域に暮らす人々はこの自然豊かな環境を守り、花を育て、地元の宝として誇っています。

ガイドプロフィール写真

市田 則孝さん(いちだ のりたか・NPO法人やんばる舎理事長)

1946年、東京都杉並区生まれ。日本野鳥の会常務理事、バードライフ・インターナショナル副会長を経て、2011年に大宜味村へ移住。妻の豊子さんとともに地元の子どもたち向けの自然観察会を重ね、地域に根ざした環境教育活動を続けている。

農地と住宅が入り組んでいる屋古集落では、シークヮーサーなどの栽培が無農薬で行われています。そのため、チョウをはじめとするたくさんの生きものが生息し、自然豊かな環境が地元の方々の努力によって保たれています。山奥にわけ入るのではなく、生活圏のすぐ近くに豊かな自然があることが、この土地の最大の魅力だと、市田さんは言います。

野鳥のシジュウカラは一羽で、年間約8万5千匹のイモムシを捕食すると言われています。自然観察に適している屋古集落では、50種類以上のチョウが確認されているだけでなく、チョウなどを餌とする野鳥も多く見ることができます。何気ない自然であっても、生きものの目線を持つことで豊かさを実感できるのです。

半分に割ったイジュの実は、オジイとオバアが笑っているように見えます。市田さんは地域の子どもたち向け観察会で自然の面白さや不思議さを伝える一方、体験することの重要性を感じています。知識は大切な要素ですが、感動するほうがより印象に残るといいます。身の回りにある自然に好奇心を持つことが、環境教育の入口なのです。

自然環境を保全するにあたっては、地元がメリットを感じられることがとても重要だと、市田さんは考えています。そのため集落内に事務所を置き、ガイドも地域の方が担っています。観察会を通して子どもたちが自然に関心を持つようになったことで、いまでは地域全体が環境保全の大切さを共有し、多くの人が訪れる場所にもなっています。

沖縄島北部・国頭村
生物多様性に富んだ森を歩き、人と自然が共生する未来を考える

バリアフリーに配慮した森の中の散策路を歩き、見渡す限り広がるやんばるの森から、人と自然が共生する未来のあり方を学ぶ。

ガイドプロフィール写真

大城 馨さん(おおしろ かおる・国頭村環境教育センターやんばる学びの森ガイド)

www.atabii.jp

1941年、国頭村生まれ。国頭村環境教育センターの立ち上げから関わり、センター長を歴任。2016年にセンター長を退任後はいちガイドとして、やんばるの森の素晴らしさを伝えている。「カールさん」の愛称で親しまれている。

沖縄本島北部に広がるやんばるの森は、常緑広葉樹のスダジイが優占種として50%ほど占めています。沖縄ではスダジイのことをイタジイと呼び、秋になる実は人間だけでなく、この土地に生息する生きものたちに恵みを与えています。戦後しばらくは建材や燃料の用途で大量に伐採された時代もありますが、森を守ることが巡りめぐって人間の命を守ることに繋がると、大城さんは考えています。

日本国内には樹木を含めた植物が約4千種あり、その中でおよそ1500前後の植物を国土の0.1%にも満たないやんばるの森で見ることができると言います。多様性に富んだ自然を有する森は、渡り鳥の貴重な休息地や中継地にもなっています。

やんばる学びの森には3コースのネイチャートレイルがあり、ガイドによる自然や文化の解説を聞きながら歩くことができます。また宿泊棟やキャンプ場もあるので、ナイトハイク等で夜の森を楽しむことも可能です。

森はすべての生きものの原点だと、大城さんは言います。そのためにバリアフリーの遊歩道を森の中に設け、障害のあるなしに関わらず、一部コースで散策できるようになっています。


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